「介護職はやりがいはあるけど、大変なわりに給料は安いし、このまま続けていいのかな?」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?
介護職はやりがい搾取と揶揄されるほど、仕事内容に対して見返りの少ない職業と言われています。
あなたが介護職をどんなにやりがいのある仕事と感じていても、搾取され続けていれば働くのが嫌になってしまいますよね。
しかし、すべての介護職がやりがい搾取されているわけではなく、必要以上の苦労をせず効率良く働いている介護職も確かにいるのです。
そこで本記事では、やりがい搾取されない介護職になるためにやめるべき3つの習慣などについて解説します。
私自身、介護職を13年経験し、管理者としても勤務した中で、やりがい搾取に長年苦しむ人や、短期間で要領良くキャリアップしていく人など、さまざまな介護職を見てきました。
この記事を読むことで、やりがい搾取されないためには何が必要なのか、どう行動すれば良いのかがわかるようになります。
ぜひ今回の記事を参考にして、やりがい搾取から卒業し、経済的にも精神的にも安定した介護職人生を手に入れましょう!
やりがい搾取とは?
やりがい搾取とは、雇用主が従業員に仕事の『やりがい』を強く意識させ、不当に安い給料で働かせたり、長時間労働を強いることを言います。
「お金には代えられない『やりがい』がある!」
「利用者さんの笑顔が一番の『やりがい』です!」
などの言葉を介護業界ではよく耳にしますが、どれだけ『やりがい』に溢れた仕事であっても、労働に見合った対価が与えられなければ、それはやりがい搾取であると言えるでしょう。
介護職がやりがい搾取されていると言われる2大要因
介護職がやりがい搾取されていると言われる背景には2つの大きな要因が存在します。
それは「賃金の低さ」と「自己犠牲を美徳とする風習」です。
以下で、詳しく解説していきます。
やりがいはあるが賃金が低い
公益財団法人介護労働安定センターの「令和4年度 介護労働実態調査」によると『仕事の内容・やりがい』について半分以上の介護職が『満足』または『やや満足』と回答しており、満足度は52.4%となっています。
一方で、厚生労働省の「令和4年度 介護従事者処遇状況等調査結果」における令和4年12月時点の常勤介護職の平均給与月額は31万7540円で、全産業の平均給与月額である36万1000円を4万3000円以上も下回っています。
これらのデータは「やりがいはあるが賃金は低い」という事実を裏付けていると言って良いでしょう。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査」
厚生労働省「令和4年度 介護従事者処遇状況等調査結果」
やりがいを餌に低賃金で働かされている介護職が大勢いるのが現状です。
自己犠牲を美徳とする風習がある
介護業界では自己犠牲、つまり自分を犠牲にしてでも顧客や会社に貢献する姿勢こそが美しいとされる傾向があります。
具体的には、以下のような点です。
・お金のために働くことは悪である
・利用者からの無理な要求も可能な限り応えなければならない
・認知症の利用者からの暴力やセクハラは笑顔でスルー
・腰痛は職業病なので仕方ない
など
すべての職場がそうであるとは言いませんが、他の業界ではあり得ないような特殊な価値観がまん延しているのが介護業界なのです。
介護業界は、介護職の自己犠牲によって成り立っているといっても過言ではないでしょう。
やりがい搾取されやすい介護職の3つの特徴
ここからは、やりがい搾取の対象となりやすい介護職の特徴について解説します。
具体的には以下の3つです。
1.奉仕の精神が強い人
2.感情移入しやすい
3.流されやすい人
ひとつずつ解説しますので、自分に当てはまると感じた人は、自身がやりがい搾取されていないか振り返ってみてください。
1.奉仕の精神が強い人
介護職は、人の役に立っているということを実感しやすい仕事です。
そのため、奉仕の精神が強い人は介護職に向いていると言えますが、一歩間違うと「もっと役に立ちたい」という思いから自己犠牲をいとわなくなる危険性があります。
「人の役に立ちたい」という思いだけで介護職を続けてしまうと、やりがい搾取の対象となってしまう可能性が高いでしょう。
2.感情移入しやすい人
他人に感情移入しやすい人は、利用者の心に寄り添った良い介護ができる一方で、利用者の事情にのめり込みすぎる傾向があります。
そのため「力になってあげたい」という思いから、自己犠牲に走ってしまう危険性が高いと言えます。
魅力的な介護職になれる可能性を秘めた性格ではありますが「仕事は仕事」と割り切れる人でないと、やりがい搾取の対象となりやすいのも事実です。
3.流されやすい人
介護業界における多くの職場ではやりがい搾取がまん延しており、それを多くの介護職も受け入れています。
それどころか、搾取されている状況を良しとする、ある種の洗脳教育を受けた先輩職員たちが同じ道に引きずり込もうと誘導してくることさえあります。
そのため、嫌なことを嫌とはっきり言える人か、自分の芯を曲げない意志の強い人でないと、やりがい搾取の対象となってしまう可能性が高いでしょう。
やりがい搾取されやすい人こそ実は介護職に向いている
やりがい搾取されやすい介護職の特徴に当てはまってもガッカリする必要はありません。
なぜなら、やりがい搾取されやすい介護職の特徴は、介護職に向いている人の特徴でもあるからです。
・奉仕の精神が強い人 → 介護の仕事を心から楽しめる人
・感情移入しやすい人 → 利用者の気持ちを汲み取れる人
・流されやすい人 → 融通が利く人
このように考えると、決して介護職としてマイナスな特徴ではないことが分かります。
大事なのは、自分がやりがい搾取されやすいことを理解した上で、意識的に行動を変えていくことです。
やりがい搾取されない介護職になるためにやめるべき3つの習慣
ここからはいよいよ、やりがい搾取されない介護職になるためにやめるべき3つの習慣について解説していきます。
具体的には以下の3つです。
1.奉仕するのをやめる
2.我慢するのをやめる
3.「なんとなく」頑張るのをやめる
ひとつずつ詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
1.奉仕するのをやめる
介護職はボランティアではなくビジネスなので、他の職種と同様に労働の対価として賃金を得る権利があります。
「見返りを求めてはいけない」という考えは捨てましょう。
介護職という仕事をしている時点で十分すぎるほど社会に貢献できていますので、胸を張ってお金を稼いでください。
具体的には、以下のように行動すると良いでしょう。
サービス残業をしない
多くの介護現場で見られるのが、事故報告書などの書類作成を勤務時間終了後に居残って作成するケースです。
「自分の仕事が遅いからいけないので……」 と、残業を申告しなかったり、実際に要した時間より短く申請する介護職が数多くいます。
仮に自分の仕事が本当に遅いとしても、それは従業員教育が不足しているせいでもあるので、堂々と残業を申請しましょう。
賃金の発生しない仕事は請け負わない
私が働いていた施設で多く見られたのが、利用者から頼まれた買い物を勤務時間外に行うというケースです。
本来であれば勤務時間内に買い物に行くか、それが難しければ買い物に行った時間を残業として申請すべきですが、その施設では介護職が無給で買い物を行っていました。
やっている人に理由を聞くと、残業という形で行ってしまうと上司の許可が下りない可能性があり「利用者が損をするから」とのことでした。
いくら利用者に喜んでもらいたいからと言って、自分の時間を犠牲したり、貰えるはずのお金を貰わなかったりするのはおかしいですよね。
必要な仕事であれば残業の申請を行い、もし許可が下りないのであれば「やってはいけない」のだと割り切りましょう。
2.我慢するのをやめる
自己犠牲が美徳とされる介護職なので、なにかと我慢を強いられることも多いです。
もちろんどんな仕事にもある程度の我慢はつきものですが「介護職を選んだのだから我慢して当然」という発想は捨ててください。
最初は我慢できても、やがて消耗しモチベーションの低下につながってしまいます。
具体的には以下のように行動すると良いでしょう。
利用者や家族からの無理な要求に応じない
利用者や家族の中には、無理な要望を言ってくる人もいます。
これは、介護職自体が「社会的地位の低い人たち」として見られているからに他なりません。
私自身も「介護の仕事を選んだのだから、大変なのはわかってるよね」と利用者家族から言われたことがあります。
無理な要望を一度聞き入れてしまうと、要望がエスカレートし、自分や仕事仲間の首を絞めてしまうことになりますので、無理なことは無理とはっきり断りましょう。
断るのが難しければ「自分では判断できませんので上司に相談します」と上へ投げるのも手です。
利用者からの暴力やセクハラなどを我慢しない
多くの介護職にとって、利用者(特に認知症の利用者)からの暴力やセクハラは大きな悩みです。
介護業界では、認知症に由来するそれらの行為はある程度受け入れなければならないような風潮があり、結果的に介護職が我慢を強いられる形になっています。
しかし、たとえ認知症が原因だったとしても、される方からすれば暴力は暴力、セクハラはセクハラ。
「介護職は黙って耐えなければいけない」なんてことはあってはなりません。
すぐに改善することは難しいかもしれませんが「こういうことで困っているからなんとかしてほしい」という声は必ず上げていくようにしましょう。
腰痛につながる無理な介護はしない
介護職では、機械化の難しさや人手不足などの理由から、肉体を酷使するような業務が漫然と行われています。
特に腰痛は介護職の職業病と言われるほどで、腰に爆弾を抱えている介護職は少なくありません。
腰痛は個人のスキルだけで防げるものではなく、介護の方法や環境などが適切でなければ、どんな優秀な介護職であろうと腰痛を起こす危険性はあります。
「大変だけど、この方法しかないから仕方ない」と諦めるのではなく、きついと感じる場面があれば先輩職員や上司などに相談し、改善策を考えるようにしましょう。
「介護職に腰痛はつきものだから」と諦めるのは、自分の健康を守るという労働者の権利を放棄するのと一緒ですよ。
3.「なんとなく」頑張るのをやめる
介護職の場合「なんとなく」真面目に頑張っても、昇給や昇格につながらない場合が多いです。
なぜなら介護事業の利益は介護報酬に依存しており、大きく利益を上げることが難しいため、会社としては、辞めてほしくない優秀な人材以外にはあまり給料を払いたくないのが本音だからです。
たくさん稼ぎたければ、その他大勢の介護職を出し抜いて、会社から評価される介護職になる必要があります。
そのためには、以下の行動を取ると良いでしょう。
会社のキャリアパスを把握し、昇給・昇格に必要なスキルを磨く
キャリアパスとは、社内で自分の目標とするキャリアに到達するまでの道筋のことです。
キャリアパスは会社によって様々ですが、これをちゃんと理解していなければ正しい努力の方向がわからないことになります。
例えば「介護福祉士の資格を取得してサブリーダーを経験した後、リーダーになる」というキャリアパスがあるにもかかわらず、勉強が苦手だからと資格取得を後回しにしていたら、いつまで経ってもリーダーにはなれません。
会社のキャリアパスを正確に把握し「何を頑張れば良いのか」を明確にしましょう。
ロールモデルとなる上司や先輩職員を見つけ、仕事のやり方を真似する
ロールモデルとは、仕事をする上で自分の考え方や行動のお手本になる人のことを言います。
「この人のような働き方をしたい」と思える上司や先輩職員がいるかどうかは、将来のビジョンを考える上でとても大切です。
なぜなら、その人の仕事のやり方を真似すればあなたも同じようになれる可能性があるからです。
ただ、真似をするのは誰でも良いわけではなく、現実的に「自分でもできそうかどうか」も考慮してください。
新卒採用と中途採用、経験者と未経験者など人によってスタート地点は違いますので、なるべく自分と近い人を参考にすると良いでしょう。
逆に言えば、目標にできるような上司や先輩がいない会社では、あなた自身も理想とする働き方ができない可能性が高いので、転職も視野に入れたほうが良いかもしれません。
自分の価値観ではなく、会社の理念に沿って仕事をする
介護には絶対的な正解が存在しません。
介護を受ける側の思い、人生観などによって受けたい介護は変わってくるからです。
正解が無いのに、会社はどうやって社員が優秀かどうかを評価するのでしょうか?
それは「会社が目指す介護(=理念)」を実践しているかどうかです。
介護職の中には「自分が正しいと思う介護」を貫くタイプの人もいますが、それは時に会社の理念にそぐわないこともあります。
「会社が目指す介護」を実践してくれる社員と「自分が正しいと思う介護」を貫き通す社員、会社がどちらを大事にしたいかは言うまでもないでしょう。
「会社が目指す介護」を常に自分の行動基準としてください。
やりがい搾取に悩む介護職におすすめの転職サイト3選
「やりがい搾取されない方法はわかったけど、今の会社じゃ無理……」
そう感じる場合は、思い切って転職も視野に入れたほうが良いでしょう。
介護業界は慢性的な人手不足であるため、今より好条件の会社に転職できる可能性は高いです。
より効率的に求人を見つけるためには、転職サイトに登録することをおすすめします。
自分の市場価値を知ることで現在の給料が適正かどうかもわかるので、転職しなくても登録しておく価値はありますよ!
おすすめの転職サイトを3つ紹介しますので、参考にしてください。
レバウェル介護(旧きらケア)
レバウェル介護(旧きらケア)は、業界No.1の求人数を誇る介護職に特化した転職サイトです。
2024年4月時点で約20万件の求人を取り扱っており、自分に合った求人を探すことができます。
専門のキャリアアドバイザーが、転職サポートだけでなく今後の人生を考えたキャリアプランまで相談に乗ってくれるので、初めて介護職に転職する人にもおすすめです。
マイナビ介護職
マイナビ介護職は、業界きっての高い知名度を誇る転職サイトです。
知名度の高さは企業側の安心感につながり、転職活動を有利にしてくれます。
もちろん知名度だけでなくサポートも確かで、介護職専門のアドバイザーが親身になって相談に乗ってくれるので安心して転職活動に励むことができますよ。
介護ワーカー
介護ワーカーは年間1万件を超える転職成功実績がある介護職専門転職サイトです。
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私も管理者時代に介護ワーカー経由で人材を採用した経験がありますが、エージェントさんの対応がとても丁寧だった印象があるので、個人的におすすめです。
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まとめ
介護職は搾取されやすい職業ではありますが、そのぶん、やりがいのある職業であることも事実です。
やりがい搾取されないための知識を身につけ、自分に合った職場を選ぶことで、介護職でも経済的・精神的に安定した生活を送ることが可能になります。
できることから一つずつ、取り組んでいきましょう。
お読みいただき、ありがとうございました。